枕ほど個人差のある道具はありません。ひとりひとりの体型、寝姿、年齢、そして肌ざわりの好み。色、柄、雰囲気の趣向。みーんな違います。これらを組み合わせて、方程式のように正解を導くことはできません。結局、良い枕とは男女の仲と似て、「相性」が合うか合わないかという感覚の世界になりそうです。そうはいっても良い枕に巡りあえず、悩みをお持ちの方が多くいらっしゃるのも事実。そこで、どうすれば良い枕と出会えるのか、枕選びのためのアドバイスを少々。
良い枕 四つの条件
●眠るとき、ピタリと気持ち良く決まる
●寝返りしやすく、通気性が良い
●朝すっきり目覚め、枕のことは忘れている
●洗濯しやすく、清潔を保てる
一般的に枕が合わない時の現象は、肩凝りと浅眠です。枕が気になって、なかなか寝つけないこともよくあります。では、良い枕を探すためには、具体的にどのようなポイントからみていけばよいのでしょうか。
1、高さ
枕の合わない第一の原因は高さです。高さこそは枕の生命といっても言い過ぎではありません。どんなに高価な枕でも本人の自然な体位をキープできるちょうどよい高さでなければ十分な睡眠を得ることができません。
適当な高さとは、端的にいえば首筋をやさしく気持ち良く支えてくれるだけの高さです。平均的な男性で4cm、女性で3cmですが、本人が自然に立っている姿に近い寝姿勢を保てる高さにします。そして後頭部が頭の形なりに低くなっていて、しっくりと無理なく納まる感じが大切です。
そのため枕はできるだけ試し寝をして、自分の感覚にしっくりくることを確かめるのがよいのですが、できない時は、あとで高さが調節できるものを選ぶのが無難です。
高さ選びの留意点には、次のようなものがあります。
イ、疲れている時は、高い枕を気持ち良く感じることがある。
(これは首筋、背中の一時的なストレッチ効果によるもので、時間がたつと逆に筋肉の緊張でコリ、痛みを生ずることがあるので注意が必要です)
ロ、ベッド、敷布団などの沈み込みの大きさを考慮しておく。
ハ、横向きに頭をのせた時、高さがあまり変わらないものが良い。
ニ、年齢とともに首の深さ(水平に寝た時、床と首との間にできる空間)はだんだん大きくなり、枕が合わなくなる。ある程度の期間で枕の高さをチェックする。
なお、枕だけが原因で肩が凝る場合、概して高い枕で凝った時は、首筋から肩、背中にかけて痛みを感じ、枕が低すぎる時は、首のうしろから後頭部が凝ることが多いようです。そしてこうした凝りは大概午前中で解消します。
また夜中に枕を整えたり、首筋の方へ寄せて高くすることがありますが、これは枕の高さが合っていないための疲れから無意識に屈伸運動を行っているのです。一度、枕の高さと本人の頸椎弧の深さをチェックするとよいでしょう。
2、硬さ、触感
硬さや触感も枕が合わない原因になることがあります。硬さや肌ざわりは、ひとそれぞれ好みがありますので、基本的には自分が気に入った素材のものを選ぶことが大切です。羽根、ポリエステル綿、パンヤなどは柔らかめ、パイプ、ビーズ、ウレタン、ソバなどは硬めがよいとされていましたが、最近は同じ素材でも製法の違いにより多様な質感が得られるようになってきました。また充填量によっても異なりますので、まず頭をのせ、動かしてみて気持ちよく眠れそうかどうか確かめることをおすすめします。
硬さの好みは、生活習慣にもよるので一概にはいえませんが、一般的に柔らかすぎる枕は安定性に欠けるため眠りが浅く、皮膚の表面に接する面積が大きいので、放熱性がよくありません。いっぽう硬すぎる枕も体重が一点集中となり、そこからの刺激信号で目覚めやすくなります。
3、清潔性
使い慣れた枕でも不潔なものはやはり安眠の妨げになります。枕を清潔に保つためにはまず第一に枕カバーをまめに洗濯することです。フケや皮脂をつけたたままにしておくと、ダニなどが寄ってきますが、ほとんどのダニは洗濯で洗い流せます。
中身の素材ではソバガラや羽毛など天然素材にダニがつきやすく、家族にアトピー症の方がおられる場合は避けたほうが賢明です。ダニの死骸や糞がアレルギーを引き起こす元となるからです。このような時はポリエチレンなどダニの付着しない化学系の素材が安心です。素材自体も丸洗いできるので、いつまでも清潔さを保てます。
枕もときどき日光浴をさせましょう。清潔な枕は、快眠のくにへの無料招待券です。